神奈川県小型生コンクリート協同組合 技術交流会主催 技術セミナー報告

9月21日午後、BASFジャパン株式会社 茅ケ崎技術開発センターにて技術セミナーが開催され、私、新東産業(株)仲田がファシリテーターを務めました。当日のセミナー内容についてのご報告します。

 

まずBASFジャパン(株)建設化学品事業部 茅ケ崎技術開発センター長 菅俣氏よりご挨拶及び研究所内の注意事項等の説明、同社 建設化学品事業部 首都圏シニアマネージャー 近藤氏、ポゾリス ソリューションズ(株)混和剤事業部 首都圏支店長 藤岡氏よりご挨拶をいただき、セミナーがスタートしました。

2019年のJIS A 5308の改正に含まれる「スランプフロー管理コンクリートの導入の動向」について:ポゾリス ソリューションズ(株)混和剤事業部 技術部課長 後藤氏

1.普通コンクリートでのスランプフロー配合の導入議論

建設作業員の不足、過密鉄筋による不具合の増加、トンネル覆工コンクリートでの中流動コンクリートの普及、CFT造や免震基礎等の普通コンクリートの高流動化の需要等々により必要が生じた。

 

2.議論の争点とまとめ

・増粘剤系高性能減水剤を必須としない

・石灰石微粉末等を用いた紛体系高流動コンクリートでもよい

・スランプフローで評価を行うコンクリートの場合は、材料分離を生じないように生産者は配合を定める

・試験方法に、スランプフロー試験後の材料分離の有無を目視で確認すると明記

・材料分離の評価基準は特に定めず(Jリングフロー試験は評価方法のひとつと位置づけ)

 

3.レディーミクストコンクリートの種類及び区分

PDF資料はこちら: file01.pdf

4.Jリングフロー試験についての説明

 

JIS A 1159:2018「コンクリートのJリングフロー試験方法」及び写真参照

JIS A 1150:2014「コンクリートのスランプフロー試験」参照

JIS A 1160:増粘剤含有高性能AE減水剤を使用した高流動コンクリートのワーカビリティーの評価基準

・間隙通過性の評価基準(PJ値及びブロッキング値)についての説明があった。

PDF資料はこちら: file02.pdf

5.JIS A 5308 スランプフローコンクリートの標準化にあたってのポイント

 

・材料分離のないことがポイント

増粘剤含有高性能AE減水剤の使用が容易(設備、材料の視点から)

材料分離はスランプフローの上限側で確認するのが望ましい

27-45-20、33-50-20、36-55-20、40-60-20等、設定フローの中で最も呼び強度が小さい配合について検証

材料分離抵抗性・間隙通過性を確認する。

JIS A 1150、JIS A 1159により試験、目視観察を行う。

等、基礎知識を習得した。そのうえで、コンクリート試験練りを行った。

 

・試験室において下記のコンクリートの試験練りを実施した。

 

普通コンクリート

①W/C=46.1%-21cm-20N(スランプ21cm:呼び強度33N)

 

中流動コンクリート

②W/C=46.1%-60cm-20N(スランプフロー60cm)

③W/C=46.1%-60cm-20N(スランプフロー60cm)・増粘剤系

④W/C=53.0%-60cm-20N(スランプフロー60cm)

(呼び強度27N)・増粘剤系

 

→試験結果PDF資料はこちら: result01.pdf result02.pdf result03.pdf

スランプフロー管理コンクリートの導入動向について(後藤氏)

コンクリート試験 普通コンクリート(スランプ21cm)

フローコンクリート(60cm:増粘剤を含まない)

Jリングフロー試験(フロー:60cm/増粘剤を含まない)

間隙通過性:粗骨材残る

PJ値測定(間隙通過している箇所の高さ)

PJ値測定(中心部の高さ)粗骨材が残っている。
ブロック現象

フローコンクリート(増粘剤含有)

分離抵抗性に優れ、間隙通過性も良好

Jリングを外した状況

通常のフローと同等(中央にやや粗骨材が残る程度)

U形試験機による間隙通過性試験(増粘剤含有コンクリート)

U形試験機による間隙通過性試験(増粘剤含有コンクリート)

フローコンクリート(増粘剤含有)27-45-20N

フロー値の上限において分離の目視確認

フロー値:50.8x48.9cm 分離無し

6.まとめ

 

「i-Construction・生産性向上」、JIS A 5308の改正に伴うるスランプフローコンクリートの導入を見据えた「流動化コンクリート」への新しい技術を体験した。

多くのメリット(生産性/(人材不足、作業性の向上)、経済効果/(耐久性、サスティナブル社会の実現)等々)と可能性を期待する高流動コンクリート、汎用的な商品として推進したいところである。

JIS Q 17025、JIS A 5308、JIS Q 1011、JIS Q 1012の改正及びJASS5の改正について概要の説明があった。

 

セミナー後の懇親会では、コンクリートの生産の立場の技術者の方々、材料メーカー(混和材料)の方々、設計の立場の建築士の方々、異なる視点からの情報交換ができ、有意義な時間を過ごすことができました。

 

新東産業株式会社 仲田昌弘

 

 

 

 

 

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