八ッ場ダム現場見学会参加報告

平成30年11月17日(土)、東京コンクリート診断士会(主催)、日本コンクリート診断士会(共催)が企画した「八ッ場ダム現場見学会」に参加しました。23名の参加者で八ッ場ダムへ向けて出発。

 

見学スケジュールは、以下の通りです。

 

8:00 集合・受付

12:00~13:00 昼食

13:10~13:40 現場事務所にて八ッ場ダム概要説明

13:50~14:30 ダム右岸天端

14:45~15:30 ダム上流側(上流締切)

19:30 解散

 

往路の車内で、参加された小林茂敏氏(ダム技術の有識者)よるRCD工法について事前講習がありました。
車窓からは晩秋の紅葉が見頃で美しい風景が堪能しながら現地へ向かいました。

 

昼食先「中居屋」で現地集合の参加者10名と合流。中居屋は、江戸時代の豪商「中居屋重兵衛」の末裔が営む割烹・蕎麦屋、重兵衛の業績を残した文献や史実が展示された商家で歴史を感じる店内でした。

立ち寄り先の道の駅「八ッ場ふるさと館」では、上流側のダム湖となる箇所から遠目でダム現場を見ることができました。

「中居屋」:石臼で蕎麦を挽く様子

道の駅「八ッ場ふるさと館」に展示されているダンプタイヤ ~大きい!!~

八ッ場ダム建設所事務所(八ッ場ダム本体建設工事 清水・鉄建・IHI異工種建設工事共同企業体)に到着し、現場を案内していただく方に迎えられ、事務所内セミナー室にて八ッ場ダム概要の説明を受けました。

 

タイトルは、八ッ場ダムのミッションのひとつである「洪水を防ぐ」とあり、八ッ場ダムについて下記に示す内容の説明をいただきました。

 

①八ッ場ダム計画の経緯

 

・利根川の治水の始まりは江戸時代に始まる。徳川家康によって「利根川の東遷」(水路や支脈川、堤防等を築いて流れを東に移し、銚子で海に注ぐように耐規模な河川改修)を行われた。しかし洪水被害は収まらず明治33年から昭和14年にかけて数回の改修工事が進む。事前の対策にもかかわらずカスリーン台風の記録的豪雨で堤防が決壊、洪水が東京の葛飾区や江戸川区にまで及ぶにいたった。

 

・この昭和22年のカスリーン台風による利根川の堤防の決壊(関東地域の被災)を受けて、昭和27年から洪水対策の調査に着手。昭和44年に住民との交渉が始まるが難航する。ようやく平成7年に基本協定が締結され建設事業に取り掛かる。民主党政権時代に工事が中止されるが、自民党政権のもと平成27年にダム本体右岸の発破による掘削工事で再開し、平成31年完工を目標に工事が進んでいる。

 

②八ッ場ダムの概要

利根川水系ダム(8箇所)による総合的な利水対策

(矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム下久保ダム、草木ダム、渡良瀬遊水地)

・ダムの目的

洪水調節:利根川の基準地点八斗島における洪水時のピーク流量を上流部の洪水と併せて調節する。

新規都市用水の供給:水道水(群馬県、藤岡氏、埼玉県、千葉県、北千葉広域水道企業団、茨城県)、工業用水(群馬県、千葉県)へ供給

発電:八ッ場ダム発電所において、最大出力11,700kwの発電

 

・ダムの工事内容

ダム土工:約84万m3

堤体工:

ダム型式:重力式コンクリートダム

堤高:116.0m(利根川水系ダム8位)

堤頂長:290.8m

堤体積:約100万m3

流域面積:711.4km2(利根川水系ダム1位)

総貯水容量:1億750万m3(利根川水系ダム3位)

湛水面積:約3km2

 

基礎処理工:

コンソリデーショングラウチング工:3,171m

カーテングラウチング工:27,464m

リムグラウトトンネル工:305m

 

法面工:

法枠工:14,000m2

植生工:37,117m2

仮設備工:骨材製造設備・コンクリート製造設備・コンクリート打設設備

ダム用水門設備工:(IHIインフラシステム所握)

 

・コンクリート工

RCD工法(本体部)

普通セメント100kg/m3・フライアッシュ30kg/m3、骨材寸法80mm

コンクリート練上り温度:23℃ 硬化温度:45℃に調整

供給能力:360m3/h

 

・ダム設計図(八ッ場ダム工事事務所HPより)

*現場見学写真と比較参考にして下さい。

④現場見学(以下写真参照)

上流側吾妻渓(湖面の下になる)

ダム天端(右岸より望む)

下流側(発電所工事)

生コンプラント(3㎥ミキサー)2機

骨材プラントへの見学は時間がなく断念することとなりました。

 

新東産業株式会社 コンクリート診断士 仲田昌弘

 

 

 

 

 

アーカイブ記事はこちらから

新東マガジン

Think about コンクリート