JIS A 5308改正に関する速報
2019年1月31日に一財日本規格協会・全国生コンクリート工業組合連合会・全国生コンクリート協同組合連合会の共催により開催された「JIS A 5308:レディーミクストコンクリート」改正説明会の速報をお伝えする。
内容は、
・JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」規格改正の要点
・JIS A 5308 引用規格の改正等
・JISQ 1011の改正内容、対応ポイントについて
である。
1.JIS A 5308改正事業の概要
改正の主旨は、
・工業標準化法第13条に基ずく5年ごとの見直し時期
・高機能JIS等整備事業「安全・安心な社会形成等に資するJIS開発~レディーミクストコンクリートの品質及び安全性の向上に関するJIS開発」の受託(平成28年度経済産業省より)
に基づき、具体的に次のことが盛り込まれた。
a) 環境負荷低減を実現する
1.凝結遅延性能をもつ薬剤を用いたスラッジ水の品質安定化
2.戻りコンクリート等から回収した粗骨材及び細骨材のリサイクル材への追及
b) 高強度コンクリートの利用促進
c) 生産性向上に寄与するレディーミクストコンクリートの規格とする(スランプフローの追加
2.改正事項とその要点
本体
(1)用語及び定義(箇条3)
(2)種類及び区分(4.1)・呼び方(4.2)
顧客の要求を満たすために「高強度コンクリート」の種類を増やした。
呼び強度45~60までの間の整数を高強度コンクリートと見なす。
(3)スランプフロー(5.4)
スランプフロー45cm、50cm、55cm及び60cmを普通コンクリートに追加し、スランプフローの区分ごとに呼び強度の提供範囲を規定
*材料分離を生じないよう配合を定める
スランプの許容差に材料分離を生じてはならない
試験後の材料分離の有無を目視によって確認する
等が盛り込まれた。
(4) 強度(圧縮強度・曲げ強度)
精度の確認された型枠を用いて作成された供試体の場合は、各項目の測定を省略してもよい。
供試体は、脱型後は20±2℃の水中で養生する。
(5)配合計画書
購入者が確認しやすいように、配合計画書の指定事項欄を“指定事項(必須)”と”指定事項(任意)“が識別できる様式へ変更
(6)納入書
記載事項の追加・明確化
配合計画書と同様に「水セメント比及び水結合材比」の記入方法を明確にした。
「安定化スラッジ水の使用の有・無」の記入欄を設けた。
付属書
付属書A(レディーミクストコンクリート用骨材)
アルカリ反応性による区分(A.3)、スラグ骨材(A.5)、異種骨材を混合(A.9.2b)
骨材の塩化物量試験)
付属書C(レディーミクストの練混ぜに用いる水)
用語及び定義(C.3)
付属書D(付着モルタル及びスラッジ水に用いる安定剤)
付属書F(トラックアジテータのドラム内に付着したモルタルの使用方法)
付属書G(安定化スラッジ水の使用方法)
回収した骨材の取扱い
用語及びの定義、回収骨材の添加方法:A法、B法
3.引用規格の改正
①JISA 5011-1 コンクリート用スラグ骨材―第1部:高炉スラグ骨材
②JIS A 5011-4 コンクリート用スラグ骨材―第4部:電気炉酸化スラグ骨材
③JISA 1106 コンクリートの曲げ強度試験方法
④JIS A 1108 コンクリートの圧縮強度試験方法
⑤JIS A 5021 コンクリート用再生骨材H
⑥JIS A 1142 有機不純物を含む細骨材のモルタルの圧縮強度による試験方法
⑦JIS A 1143 軽量粗骨材の浮流率の試験方法
⑧JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
4.JIS Q 1011 分野別認証指針(抜粋)
本体
5.2 認証の区分
・高強度コンクリートの呼び強度:JIS A 5308に表現を合わせた
・普通コンクリートにスランプフローを加えた
(高強度コンクリートも同じ)
・高強度コンクリートのスランプ、12cmと21mを追加
・普通コンクリート以外のスランプ10cmは削除
6.3.1 製品試験
・普通コンクリートでスランプとスランプフローを認証範囲とする場合、それぞれの製品試験を実施する。
・サンプルの採取場所(荷卸し地点)は、「出荷先又は認証機関が指定した場所」と審査実態に合わせた。
13.3 表示の方法
・「運搬の都度、運搬車1台ごとに、レディーミクストコンクリートの納入書(送り状)の押印又は印刷する。その他の表示事項 一般認証指針による」
附属書A
A.1 製品の品質及び製品検査方法
・注(2)第三者機関の定義が変更
・注(5)スラッジ水の管理記録に安定剤を用いる場合が追加
A.2 原材料の管理
・セメントの受入検査方法…品質の“ばらつき”の確認を削除
・コンクリート用砕石紛、スラッジ水に用いる安定剤を追加
・セメント製造業者に用語を統一、定義を明確化した
・骨材の受入検査…フェロニッケル及び銅スラグのJIS改正に合わせた
A.3 製造工程の管理
・注(1)細骨材の粗粒率検査頻度ヲ1回以上/週とした安定剤の追加に応じた変更
・注(2)“化学混和剤”と“AE剤”を累加した計量値とについて、それぞれの合否の判定をする。
・注(3)スランプフローの検査方法に“材料分離がない事を目視等によって確認する”
A.4 設備の管理
・安定化スラッジ水の製造設備
・回収骨材を使用する場合の“分級設備”
・供試体型枠の検査頻度を“1回以上/12ヶ月”
・スランプフロー測定器具“高強度コンクリートの場合”を削除
・注(1) 塩化物含有量測定器機の呼称を“塩化物含有量測定装置”に変更
最後に高機能JIS 等整備事業について
事業目的と概要
・製品等の差別化や更なる技術レベルの向上を目指すために、ミニマム標準よりも高いレベルの性状・特性を等級別に盛り込んだJIS(高機能JIS)の開発
・新市場創造・拡大に資するJIS の開発
・消費者保護、高齢者・障害者配慮等社会ニーズが高く安全・安心な社会形成等に資するJISの開発
・JIS マーク認証等の活用を促進、信頼性の確保を図る
成果目標は、平成30年度までの5年間、250件のJIS制定とある。
*高機能JIS等整備事業「産業技術環境局 基準認証政策課」より抜粋PDFをご参照ください。
新東産業株式会社 営業 田辺将人
アーカイブ記事はこちらから